峰村 峻介
美術アーティスト
2021年移住 東京都出身
進修館大ホールで行われていた「宮代町新日舞連盟 彩の会」に初舞台で舞っていたのは峰村峻介さん。普段は美術アーティストとして活動されています。袴姿で取材に応じてくださった峰村さんに日舞をはじめることになったきっかけでもある宮代町のコミュニティやご自身のアート活動についてお話を伺いました。
移住のきっかけは 友人からの勧め
宮代町に移住するきっかけは「なんとなくお前に合いそうだから行ってみたら」と、宮代町をよく知る友人に言われたことです。何度か訪れるうちに、進修館や役場に見られる開放感のある建物やこの町の雰囲気が好きになりました。職場への電車通勤のしやすさにも魅力を感じて住んでみることにしました。
まちづくりにつながる アートの可能性
東京から宮代町に移住してからは、アートを通して地域に溶け込んでいきました。学生時代に参加した「大地の芸術祭・越後妻有アートトリエンナーレ」の「空き家プロジェクト」で、地域の人々と密接に関わりながら作品を作り上げることを学び、地域の過疎化問題についてアートを通じて語ることで、より多くの共感を得ることができました。そんな経験から宮代町でも地域のことを調べ始め、「農のあるまちづくり」というコンセプトや初代町長の考え方にとても共感できました。町の歴史や文化を深く理解した上で、アートとして表現したいと考えています。
「まちづくり」という言葉を入口にすると、やりづらくなります。最初からそれを目的とするのではなく、人と繋がっていったらまちづくりに繋がったという結果にしかすぎないんです。地域を知り、地域と関わりながら作品を作り上げることで、結果としてまちづくりに繋がっていくのだと思います。
町内のカフェで行われた展示の様子
自由な空間、豊かな出会い
宮代町はコミュニケーションが取りやすい町だと思います。「進修館の2階に行って話そうか」みたいな会話は、あまり他では無いですよね。そういう意味で、コミュニティ空間が充実していて、話したり、好きなことや趣味に没頭できる環境があります。家よりも、やっぱりこういう環境に来た方が話しやすくて、展示できるスペースもあちこちにあるし、のびのびと趣味に取り組めると感じています。
町内の公共施設で行われた展示の様子
自由に使える公共空間と豊富なコミュニティ活動は、この町の魅力です。各公共施設には、スペースが自由に使えて、地域の人々が交流しやすい環境が整っています。町民が好きなことに没頭できる環境が地域の活性化に繋がっているのではと分析しています。
移住以前も町内会などには参加していましたが、宮代町ではより自由な形でコミュニティが創られるため、移住者も参加しやすく、自分の活動においても、自由に展開できる環境が整っていると感じています。
町内で開催されたマルシェに参加した様子
ふと開いた 日本舞踊への扉
日本舞踊に関わるきっかけは、ご近所のカルチャーサロン優遊さんに「翔葉会の先生が肖像画を描いてほしいらしいのだけど、峰ちゃんどう?」みたいな感じで言われたのがはじまりです。
日常会話の延長で肖像画を描くことになり、その際の会話の中で日本舞踊を勧められ、「やったらいいじゃない、醬油顔だから合うわ」って話になり、せっかくの機会だし、この出会いを大切にしたいと思い始めてみました。この流れに乗っかってみよう、挑戦してみようと。
日本舞踊を始めて3か月での初舞台でした。今回の発表会では、出演と舞台美術の2役を経験させてもらい、背景に置かれた作品は、足跡を使って力強く描いてみました。進修館からイメージする自然・五感、演目の「白虎隊」、大地と自分たちとの接地面といった複数の意味を込めています。
背景に置かれた作品は、「福祉交流館 すてっぷ宮代」に展示されました。
人との繋がりが生む 新しいアイデア
宮代町での生活を通じて、多くの人々と自然な形で繋がることができ、日本舞踊などの多彩な経験も、アート活動に新たな視点やアイデアをもたらしてくれました。
もし進修館で何かやるんだったら…タップダンスと日本舞踊を融合させたパフォーマンスを思いつきました。日本舞踊もそうだけど、ダンスのジャンルは細分化されていて、楽しくて個性はあるけれど、お互いの距離が離れていますよね。みんなが個別化されすぎている世の中だからこそ、分野を”がっちゃんこ”してやってみたいです。
まこも(イネ科の植物)を採取する様子
先日は「まこも馬づくりがあるから参加してみない?」と誘われ、少しですが手伝いに参加してみました。このような年中行事はこの地域で農業が盛んだった証拠ですよね。地域のオリジナリティーが感じられて、アートにも活かせる部分だなと思いました。
宮代町の空間や空気が、これからの峰村さんのアート活動にどのような影響を与えていくのか楽しみです。
宮代町は
空(くう)。宮代町には、何でも受け入れる土壌がある。
【編集後記】 峰村さんの頭の中には常に新しいアイデアが溢れており、地域の歴史文化やコミュニティに対する深い関心が感じられました。自然な形で人々と繋がり、自身の表現を自由に広げられる環境が、峰村さんの創作活動を豊かにしているのだと思います。これからもその自由な発想と独自の視点で、アートを通してこの街の景色を変えていくことでしょう。 よく訪れるお店は、「La Cocina Verde」、「龍盛房」、「インドレストラン&バー SPICE」だそうです。「誰かと喋りたいなと思ったら行く」とのことで、気軽に足を運べる雰囲気の個人店が多い点も、宮代町の魅力だと感じました。 取材・撮影日 令和6年5月19日 |
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